禅味料理(精進)は特に季節を重んじて、五法、五色、五味の組み合わせで作ります。
◎五法とは、生、煮る、焼く、揚げる、蒸すの調理法です。
◎五色とは、青、黄、赤、白、黒の色彩で仏教の宇宙観を表します。
◎五味とは、醤油、塩、甘味、酢、辛味(カラシ、生姜、山椒等)
一つのお膳の中にこの基準を活かし、眼、耳、鼻、舌、身、そして意、すなわち五感と意(こころ)で感じる味です。
眼で味わう、耳で聞き味わう、鼻でかぎ味わう、舌で味わう、身意で感じ味わう、このように五感全体で味わう料理なのです。
禅味料理は本来、自給自足がたてまえなので、身近な材料で作ります。あまり技巧を加えず、それとて、湯葉、生麩、野菜等が主となりますので、それぞれがもっている味を十二分にいかしてあげなければなりません。
魚や肉のようなたんぱく質のうまみがないので、自ら手数をかけて作る事となります。八百年来の禅の道場で培った伝統の味、先輩から後輩へと伝承された味、自分自身で工夫貼案した味、禅味料理とは、調理する者が精進して、佛様に御供養致す気持ちの中で作りあげたものであり、また調理する者の手間と意(こころ)を食べていただく料理です。